この調で書かれた交響曲は、18世紀には2曲しか知られていません。 そのうちの1曲はヨーゼフ・マルティン・クラウスによるものですが、彼はこの調が難しいと感じたようで、後にハ短調に書き直しています。 続く2世紀になっても、嬰ハ短調の交響曲は珍しい。 ブルックナーの交響曲第7番の第2楽章(アダージョ)、マーラーの交響曲第5番の第1楽章、プロコフィエフの交響曲第7番などがその代表例です。 ドメニコ・スカルラッティは、嬰ハ短調の鍵盤ソナタをK.246とK.247の2曲だけ書いています。 しかし、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第14番(月光ソナタ)」以降、この調はピアノのレパートリーに頻繁に登場するようになる。 ベートーヴェン自身も、弦楽四重奏曲第14番(作品131、1826年)の外周楽章で再びこの鍵盤を使っている。
アルカンは、ピアノ協奏曲嬰ハ短調の第2楽章(アダージョ)を作曲しました。
フレデリック・ショパンは、この調の作品をよく書いています。例としては、ファンタイズ(即興曲)、エチュード(作品10第4番、作品25第7番)、スケルツォ第3番(作品39)、ワルツ(作品64第2番)、ポロネーズ(作品26第1番)、ノクターン第7番(作品27第1番)、第20番(Lento con gran espressione)などがあります。 また、ラフマニノフの「前奏曲 嬰ハ短調」(作品3、2)、スクリャービンの「エチュード 嬰ハ短調 作品2、1」(スクリャービン)、リストの「ハンガリー狂詩曲 第2番」、チャイコフスキーの「ピアノ・ソナタ 嬰ハ短調」などが挙げられます。
嬰ハ短調で書かれたピアノ協奏曲には、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトの「左手のためのピアノ協奏曲」作品17、ニコライ・リムスキー=コルサコフの「ピアノ協奏曲」のほか、フェルディナンド・リース、グザバー・シャルヴェンカ、エイミー・ビーチ、ミリアム・ハイド、イッセイ・ドブロウェンなどがあります。 また、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番は嬰ハ短調、ジュレス・ヴァン・ヌーフェルの聖歌隊とオルガンのための詩篇「In convertendo Dominus」は嬰ハ短調です。